• sub menu
  • fiction title
  • page
  1. Home>
  2. その他>
  3. 小説>
  4. 超密集地帯

超密集地帯

12、〜びじんきょうし〜

アズライト竜学で、最も人気のある教師は誰であろうか。

真面目さ、
付き合いの良さ、
頼りがいのある存在、


様々な評価ポイントはあるだろう。

だが、もっとも単純な点で…
誰からも、特に男子や男性教諭から人気なのはやはり、最もセクシーでダイナマイトボディな、アネイル=カンバーランドであろう。


時折見せる能天気な、本物の天然要素は女生徒からも人気があり、

学校で教師の人気投票などしようものならブッチギリになるのはわかりきっていた。





「はぁ〜〜い、みなさぁあん、ちゅうもくしてくださーーい」


手に持ったチョーク式の陣術展開補助装置をかかげると、
複数の画面が教壇の前に表示された。


真面目に授業を教えるその姿は、ピンクの大福…否、大福はこんなに段々になってはいない。

ピザミッド状の贅肉の段差は、不規則で彼女の動きに合わせてぶよんぶよんと右に行ったり左に行ったり忙しない。

一部の男子生徒は、波のように動く、その贅肉に合わせて上下にだっぷんだぷんと揺れ動く、二つの満月に特に注目していた。


そう、アネイル=カンバーランドは巨乳の持ち主だった。爆乳と言って差し支えない。

過剰な肥満で目立たないかと思いきや、そんな事は無く。
はちきれんばかりのその脂肪の詰まった袋は、未だに成長をしている…ともっぱらの噂だった。

「むっ、そこのきみ!ちゃんと話きいてた? まったくもう・・・」

鼻の下を伸ばしていた生徒を注意しながら、左手は無意識にジャンボチョコレートスティックに伸びて口に運んでいた。

教師も生徒も、授業中好きに食べて良いという校則がある。
空腹がこの世で最も集中力を乱す《悪》だからだ。

特に教頭もこの件に関しては念入りにしており、持ち込み用の食べ物を忘れた生徒にも自動的に配給が来るように陣術のマクロを設定済だ。


「というわけで、ええっと、なんだったかしら、そうそうチョコフォンデュが・・・って、あら?」

「せんせ〜しっかりしてよぉ、それは今先生が食べてるお菓子だからー」

「や、やだごめんねみんな・・・///」


しっかり授業妨害になっているのだが、基本的にマイペースなこの学校では些細な事だ。

ちなみに、生徒たちは教室に入りきらない。
複数の部屋にわけられており、完全投影ホログラフィー(色・質感・重量感までその場に再現される)によって授業を受けている。

タブレット越しの通信衛星だけでいいのでは?とも思えるが、やはり実際の教室にいて覚える授業内容は、自宅の勉学とは比較にならないのだ。



キーンコーンカーンコーン…


授業の終わりを知らせるチャイムが鳴り響く。

「それじゃあきょうはここまで、おつかれさま〜」

アネイルは摺り足をするような動作で両足をゆっくりと動かし、教室を後にしていく。


男子生徒「…なぁなぁアネイル先生、また《デカく》なってきてねぇか?」

男子生徒「う、うん」

女子生徒「ちょっと何話してんのよあんたたち・・・ま、まぁ、正直あたしらもそう思うけどね…///;」




−◆−



そんなこんなで授業が終わり、職員室へ戻るアネイル。

アネイル「ふぅー・・・よ、っと」


幅10m近いソファ…という名の座椅子に体を預けるアネイル。
その座椅子も実はハイテクマシンで血行を促進させ、微細な振動を与えて体のコリを自動的にほぐしてくれる。

フラー「・・・(ごくり)」

思わず、先に休んでいたフラー先生も彼女のたわわな胸が揺れてこれでもかと主張してくる様を見せられては、目を背けられない。

エルトワ「ふらーせんせい?(ニコっ)」

フラー「あっ、いえ、ず、ずびばぜん・・・」


校長に笑顔の圧力をかけられ、赤く染まった顔をそむけるフラー。
とはいえ首も満足に曲げられないので、えっちらおっちらと重戦車の起動旋回より酷い動作で向きを変えるのだった。


アネイル「?
よし、さぁってとからだもすっきりしたし、お茶してからかえろうっと」


それにしても、最近は肩がつかれやすいなぁ。

以前までは腹肉に胸が支えられ、太った方がむしろ疲れにくいぐらいだった。
でも最近は、全身だけじゃなく胸にまで栄養が行き届き始めてるみたいで…

「はぁ、おおきすぎるのも、ちょっとだけ大変だなぁ・・・」

世界中の貧乳竜を敵に回す発言をしながらも、彼女はのほほんとした雰囲気で家路につく。


その道中、顔見知りもそうでない者も、「あの、よかったら余っているのでこれ…」と無意識に彼女にプレゼントをしてしまうのだが、無理もない。



彼女はそれほどに、天使のようで。
周囲がどれだけ彼女を甘やかしても、決して奢らず、態度も変えず。
清楚で、愛らしく、豊満で、ちょっぴり平均的な女性より…脂肪が多かった。








ロックブーケ「むぐむぐ、あなたってば、最近また一段とおっきくなってない?」

ライバル視している女性教諭のロックブーケは、アネイルの胸のサイズが目に見えて大きくなっている事に危機感を覚えた。
自分は、横幅ばかりが広がって、相対的に見て、サイズはそんなに・・・むしろ目立たなくなりつつあるのに。


アネイル「もぐもぐ・・・そうかしら・・・?
たしかに、ふとったとはおもうけども」

ロックブーケ「そうじゃなくって・・・あーもう・・・」

ロックブーケ「(ううーー、きっとお肉とかいっぱい食べて栄養つけてるのね、わ、私だって負けないんだから)」



11、〜レナスの午後〜 << BACK / ◆〜びじんきょうし〜  / NEXT >> 13、〜ロックブーケ〜