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超密集地帯

26、〜浮遊生産場〜

世界は肉に包まれた―――。




それは比喩ではなく、実際に現在進行形で起きている現実問題だった。




肥満竜たち、と呼べないほどの肉塊竜。

手足の動きは自身の肉に行動を阻害され、自力では歩行すらままならない。


複数のサポートメカの補助により



その体重は《1万t》すら越えて、肥えていた……



【シェルプラント】と呼ばれる食料生産場が、各地の上空に多数つくられている。



すでに、大地は竜たちの肉体に大部分埋め尽くされ、『厨房』や『畑』等に貴重な足場を割いている余裕は無かったのだ。



コープ「んぐ、もぐ、むぐ……」



子供でありながら体重が早くも2万tを突破した重度肉塊竜コープ。


彼の頭上高くにあるシェルプラントも、恐ろしい生産速度で食材を増やし続けていた。


陣術と科学技術の応用で、作物はほぼ毎日収穫できるレベル。


おかげで食糧不足になる事は無かったが、腐らせるわけにもいかずすべて消費しきる必要も出てきた。



竜達はさらに不必要とも思える食事を繰り返し、未だに肥え続けている。





今日は休日。

生徒たちも、教師たちものんびりと街中で……


食事だ。いつも通り。もっとも、授業中でもほとんど変わりはないのだが。





レナス「それにしても、不思議ですね…」


コープ「んーなにがー??」


レナス「この、食材ですけど。僕らの体を維持できるほどの量、ずーーっと供給が続いて。
よく循環できてるなーって」



コープ「そんなこと、考えたこともないなーー」


もぐもぐ、もごもご。コープは口を動かし続ける。


レナスも疑問を持っても、すぐに食欲に負けてしまう。


「まぁ、実際食べ物に困らないってのは、良い時代に生まれましたよね」


お腹が空かないから、それで別に構わないとでも言うように。



体重は日々増え続け、体型は日々肥え続けている。


サポートメカを複数台増やしても、自由が利かない肉体。だけど落ち着くことは無く、際限なく膨れ、太る肉体。




浮遊生産場《シェルプラント》は浮遊大陸のように空を埋め尽くしていく。



まるで曇り空のように太陽光が遮られるようになると、



人工的に太陽光を生み出すアーティファクトが備え付けられる。



彼らの生活に不都合が起きれば、それを解決する手段が必ず何かしらあった。


ゆえに、他惑星間からは暴走とも言える竜達の肥大化は留まることを知らない。




現時点で、最も痩せている生徒の体重が2万3千トンあり


かつて、世界にある移動する重量物体は2000tにも満たない飛空艇であった。(ジャンボジェット機:390t)



だが今や1個体がその重量の10倍にもなり、地平を肉で埋め尽くしあっている。




脚の踏み場がなくなっても、彼らは太り続けるだろう。折り重なるように贅肉を重ね合い、肉の山脈を広げ続けるのだ。









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