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カーザ・ミーア

10、決心

「あの…フィガロさん…?」
僕は…意を決すると陣術越しにフィガロさんへと話しかけた。

「どうしたんだい?急に」
フィガロさんは、不思議そうな声色で僕へと聞き返した。

「その…僕を…ここで…降ろしていただけませんか…?」
僕は…この船を降りようとしていた…
理由は…

「ほぉ…」
それを聞いたフィガロさんは、小さく溜息をつく。

「すみません…どうしてだか…僕…ネージュさんを放っておけなくって…」
この長い旅の間、何故だろう…ネージュさんを一人にはしておけない…
いや…僕が、彼女と一緒に居たいんだ…

所々、世間知らずで…でも好きな事には一生懸命で…
ご飯は美味しそうに食べるし…笑うと、とても可愛らしくて…
凄く…抜けたところがあるけれど…そんな彼女を…

彼女をずっと傍で支えたい…

僕は旅の間で、そう思い始めていたのだ。

「ほぉ…それならば…仕方ないな…」
フィガロさんは暫く、呻いた後、そう言ってくれた。

「君が居なくなるのは…非常に惜しいが…君自身が決めた事ならば、止めるなんてとんでもないからね」
そう言うフィガロさんの声は、とても残念そうだった…
あんなに…自分の子供同然に接していてくれたフィガロさんに…僕は…

「ふぅ…それなら、私から…可愛い後輩、息子同然に思っているアドレ君に一つ、アドバイスをさせて貰っても良いかな?」
フィガロさんは、申し訳なさで俯いていた僕に微笑みかけてくれる。

「一度好きだと決めた彼女を、ずっと…いつまでも支えてあげなさい。なぁに…気の利く君の事だ。上手く添い遂げられるだろうさ」
そんなフィガロさんの言葉に、僕の顔がぱっと熱くなっていく。

「ありがとう…ございます…」
僕は、たどたどしくお礼を告げると、ネージュさんと一緒にゴディヴァを下船し始めたのだった。


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